「超予測」の概要
以下のような事象の発生確率を知りたいとしましょう。例えば、ある革新的な新製品が成功する可能性はどの程度か、今後10年間に中国が台湾を侵略する可能性はどの程度か、世界的なパンデミックが世界を席巻してしまう可能性はどの程度かなど、基本的に「予測分析」を用いることができない質問です。これらの問題に関しては大きなデータセットを持ち合わせていないため、(例えば)Amazonが商品の到着時間を予測する時に行うような、巨大なデータセットを統計モデルに組み込む、というようなことはできません。
このような質問に対して、信頼できて正確な予測を行うことは可能なのでしょうか?
少し驚かれるかもしれませんが、答えは「イエス、うまくやればね」のようです。
予測市場はこのような予測を行うための有望な方法の一つではありますが、アメリカでは原則として違法であり、様々な実装の問題が今のところその精度を妨げています。幸いなことに、別の方法として「超予測」というものがあり、こちらは完全に合法かつ非常に効果的です。
どのように機能するのでしょうか?基本的なアイディアはいたってシンプルです。手順はこうです。
厳密には、通常の方法はもう少し複雑なのですが、この3つのシンプルなステップが超予測法の核となります。
では、この方法はどの程度有効なのでしょうか?
数年前、大規模かつ厳格な予測大会において、米国の情報機関がこの方法の検証を行いました。大会では、複数のランダム化比較試験が行われ、「2013年に南シナ海で少なくとも1人が死亡する暴力事件が発生するか?」といった500以上の地政学的な予測質問について100万以上の予測がなされました。以下がこの研究より明らかになったことです。
これは非常に驚くべき結果です!しかも、非常に注意深く、厳密に設計された調査によって発覚したのです!
この結果から、米国情報機関は超予測法を積極的に採用していると思われるかもしれません。とりわけこの研究が、米国の国家情報評価の正確性を向上させる方法を見つけ、政策立案者が難しい決断を下す際に役立てるという目的で、米国情報機関によって出資されたものであることを鑑みれば、なおさらです。しかし、残念ながら、私の経験上では米国の情報機関や国家安全保障機関で、この結果や「超予測」という言葉さえ聞いたことがある人はほとんどいません。
CIAや国防総省のような大規模な組織では、十分な人材がおり、十分な予測を行うことができるので、その気になれば超予測法のすべてのステップを組織で実施することができます。小規模の組織であっても、幸いなことに、すでに検証済みの超予測者と契約して、意思決定にとって最も重要な問題について、十分に調整された予測を行うことができます。具体的には、
これらの企業にはそれぞれ強みと弱みがあり、オープン・フィランソロピーは過去数年にわたりこれら3社に予測を依頼してきました。もしあなたが小さな組織に勤めていて、その組織の意思決定が、あなたの行う意思決定に伴って起こることや、あなたが将来起こると予想することに基づいて行われているのあれば、これらの会社を試してみることをお勧めします。(3社とも「条件付き」の質問を提供しています。例えば、「私が意思決定Aをした場合に、結果Xが起きる確率はどのくらいか、代わりに私が意思決定Bをした場合、同じ結果が起きる確率はどのくらいか」)
もしあなたが、CIAのような非常に大きな組織や機密性の高い情報を扱う組織に勤めているのであれば、超予測の全プロセスを社内で実施することを検討すべきでしょう。(上記の組織の1つ以上と契約することで、超予測を全面的に実施する前に各モデルを安くテストすることができるかもしれません。)