【キャリアガイド】第8部:あなたにとって適切なキャリアの見つけ方
自分の得意な仕事を見つけることが重要だと誰もが言うが、その方法を教えてくれる人はいない。
標準的なアドバイスは、「才能を見つける」まで何週間も考え続けることだ。キャリアアドバイザーはあなたの興味や好みに関する質問をして手助けをしようとするし、休みを取り、深く考え、さまざまな選択肢を想像し、自分のモチベーションを真に高めるものを見つけることを勧めてくる人もいる。
しかし、先の記事で見たように、ほとんどのことにおいて本当に熟達するためには数十年の練習が必要である。したがって多くの場合、あなたの能力は「発見される」のではなく、構築されるのだ。ダーウィン、リンカーン、オプラは全員キャリア初期に失敗したが、のちに自分の専門分野を完全にリードするようになった。アルバート・アインシュタインの1895年の学校の先生の報告書には、「彼は何者にもならないだろう」と書かれていた。
「私は何が得意なのか?」と尋ねることは、無駄に選択肢を狭めるだけだ。むしろ、「私は何が得意になれるだろうか?」と尋ねる方が良い。
とはいえ、より大きな問題は、これらの方法が信頼性に欠けることだ。多くの研究によれば、将来何が得意になるかを予測することは可能ではあるが難しい。「直感に従う」ことは特に信頼できず、キャリアテストもあまりうまく機能しないとわかっている。
その代わりに、あなたは科学者のように考えられるようにするべきだ—自分の選択肢について学び、試し、内面ではなく外側に目を向けよう。ここでは、その理由と方法を説明していく。

誰しもが、自分が得意な仕事を見つけることが重要だと考えているのは確かだ。しかし私たちは、特にあなたが社会的インパクトについて関心を持っている場合に、これは多くの人々が考えるよりもさらに重要だと考えている。
まず第一に、ある分野で最も成功している人々は全体の成果のうち大きな割合を占めている。優れたパフォーマンスをあげる人に関する金字塔的な研究によれば:1
あらゆる分野において、ごく数パーセントの労働者が成果の大部分を生み出している。一般に、最も生産性の高い上位10%のエリートが全体の貢献の約50%を担っている一方で、最も生産性の低い労働者の下位50%は全作業の約15%しか生み出していない。最も生産的な者は通常、最も生産性の低い者よりも約100倍多くを生み出している。
したがって、成功の度合いをグラフにすると次のようになる:

これは、このガイドでこれまで何度か見てきたグラフと同じ尖った形状をしている。
インパクトの大きな仕事に関する記事では、研究やアドボカシーといった分野でこの状況を実際に確認した。たとえば、研究においては、上位0.1%の論文が中央値よりも1 000倍多く引用されている。
これらは成果が特に偏っている分野だが、我々のエビデンスのまとめによると、ほとんどの分野において、最も優れた人々は典型的な人よりもはるかに多くの成果を上げている。分野が複雑であるほど、この効果はより顕著になるため、研究、ソフトウェアエンジニアリング、起業などの仕事では特にその効果が際立つ。
さらに、これらの違いの一部は単に運によるものだ。すべての人が同じくらい仕事に適しているとしても、ある人が偶然幸運を得て他の人が得ないだけで、結果に大きな違いが生じる可能性がある。ただし、いつくかの要因はほぼ間違いなくスキルの違いによるものであり、自分が仕事を楽しめる上に個人的適性のある分野を選択すると、はるかに多くのインパクトを与えることができるだろう。
第二に、これまで述べてきたように、自分の分野で成功することはあなたのキャリア資本を増やすことにつながる。これは当然のことのように聞こえるが、重大なことだ。一般的に言って、何事もやりきる人あるいは仕事に優れている人として名が知れることで、さまざまな(しばしば驚くほどの)機会を得られる。
例えば、多くの組織は、その分野の経験がなかったとしても他の分野で印象的な業績を残した人を採用するだろう(たとえば、多くのAI企業は、AIのバックグラウンドがない人も採用している)。慈善団体や企業の取締役会のメンバーは、しばしば他の分野において成功した人々が採用される。また、他の分野の誰かがあなたの仕事を称賛し、一緒に仕事をしたいと考えることもあるかもしれない(Holden Karnofskyとのポッドキャストでは、さまざまな素晴らしい事例についてもっと聞くことができる)。
さらに、どんな分野においても、成功することは(少しまぐれに思えるかもしれないが)影響力、資金、そして人脈を得ることを意味し、これらは、すでに説明したように、あらゆる種類の良い目標に近づくために役立つ。たとえそれがあなたの分野とは無関係なものであっても。

第三に、仕事をうまくやり遂げて自己の有能感を得ることは、仕事に満足するための重要な要素だ。これについては、最初の記事で取り上げた。
こうしたことから、個人的適性は仕事を探す上で重要な要素の1つであると考えられる。。「個人的適性」とは、あなたがその仕事で優れた能力を発揮できる可能性のことなのだ。
これまでにガイドで取り上げてきたすべてをまとめると、完璧な仕事を見つけるための公式はこのようになる:

これらの要素を使用すれば、異なるキャリアオプションを並べて比較することができる(これについては別の記事で詳しく説明する)。
個人的適性は、他のすべての要素の乗数のようなものであり、よって他の3つの要素よりも重要かもしれない。したがって、あなたに向いていない「インパクトの大きい仕事をあなたに推奨することはありえないだろう。しかし、どうすれば最も向いている仕事がわかるだろうか?
幸い、ガイドの前半で将来の長期的な選択肢についてある程度のイメージをつかめていることだと思う。これから、それらを絞り込み、自分に適したキャリアを見つける方法を説明しよう。
(上級者向けの余談:あなたがコミュニティの一員として活動している場合、コミュニティ内の他の人々と比較した場合のあなたの比較優位性も重要となる。詳細はこちらを参照してほしい。)
どのキャリアを選ぶか考える際、最初に考えがちなのは心の内面に目を向けることだ。「直感に従え」や「心に従え」といった言葉がこれをよく表している。
私たちがアドバイスをする人々は、しばしばどの選択肢が最善に思えるかで悩んでおり、その答えを肘掛け椅子に腰掛けながら内省を通じて見つけようとして何日も費やしている。
これらのアプローチは、自分が将来何が得意になるかを前もって簡単に見極められることを前提としている。でも実際は、それは難しい。
以下の表は、次の数年間でのさまざまな仕事におけるパフォーマンスを予測する方法についての、我々が知る中で最も優れた調査だ。これは、100年以上にわたって雇用主によって実施されてきた数百の研究に基づいたメタ分析だ。2その中からいくつかの結果を紹介しよう:
| テストの種類 | 仕事のパフォーマンスとの相関 (r) |
|---|---|
| IQテスト | 0.65 |
| お堅い面接 | 0.58 |
| カジュアルな面接 | 0.58 |
| 同僚による評価 | 0.49 |
| 仕事の知識に関するテスト | 0.48 |
| 総合的なテスト | 0.46 |
| 職業適性検査 | 0.44 |
| GPA | 0.34 |
| 作業サンプル | 0.33 |
| ホランドタイプの合致 | 0.31 |
| 職務経験年数 | 0.16 |
| 教育年数 | 0.10 |
| 筆跡テスト | 0.02 |
| 年齢 | 0.00 |
ほとんどのテストの精度はかなり悪く、相関係数が0.6というのはかなり弱いといえる。aそして、さらに長期的な予測の精度はおそらくさらに悪いだろう。したがって、できるかぎりの最良の手法によって予測しようとしても、大部分において間違った予測を立てることになるだろう。一見良くないように思える選択肢が実際には良いものであることはよくあり、その逆もまた然りだ。
かつて人を採用したことがある人なら誰でも、これがまさに実際にあることだと言うだろう(そしてこれにはいくらかの体系的な証拠がある)。そして、採用は非常にコストがかかるため、雇用主は最良の候補者を選びたいと心から思っている。彼らはまた、仕事をするのに何が必要かを正確に知っている。事前に誰が最も優れたパフォーマンスを発揮するかを見極めるのが非常に難しいと採用者自身が感じているのであれば、あなたが最高のパフォーマンスを発揮できるかどうかを事前に把握する余地はあまりないだろう。
もしもあなたが事前にパフォーマンスを予測しようとするなら、「直感に従う」ことは最良の方法ではない。 数十年にわたってなされた意思決定科学の研究によると、直感的な意思決定は特定の状況でのみ機能する。
たとえば、あなたの直感は、誰かがあなたに対して怒っているかどうかを非常に迅速に伝えることができる。これは、我々の脳の回路が、危険にさらされたときに迅速に警告し、社会的にうまく反応するように生物学的に組まれているためだ。
訓練を受けた場合、直感は驚くほど正確になることもある。チェスの達人は、最適な手を打つための直感が驚くほど優れているが、これは、彼らが多くの似たようなゲームをプレイすることで直感を訓練し、何がうまくいくか、何がうまくいかないかの感覚を身につけてきたためだ。
しかし、ビジネスがどれくらい成長するか、誰がサッカーの試合に勝つか、学生がどのような成績を収めるかといった事柄を理解する際には、直感的な意思決定は役立たずだ。先ほども述べたように、私たちの直感は、何が私たちを幸せにするのかを理解するのに向いていない。これは、私たちの訓練されていない直感が多くの間違いを犯すためであり、このような状況に関してはそれを改善するのは難しいだろう。
キャリアの意思決定も、チェスのグランドマスターになることよりも今挙げたような例に似ている。
以下の場合、私たちの直感を訓練することは難しい:
これは、キャリア選択の状況とまさに同じだ:私たちは人生においてキャリアに関する重要な決定を数回しか下さず、その結果を確認するまで数年かかる上、さらに労働市場は常に変化している。
それでも、あなたの直感は最適なキャリアについての手がかりを与えることができる。たとえば、「この人を信頼できない」とか、「このプロジェクトには興味がない」といったことを教えてくれるかもしれない。それでも、単純に「直感に従う」ことは不適切だ。

(さらなる詳細については、エビデンスのまとめを確認してほしい。)
多くのキャリアテストは、「ホランドタイプ」または類似のものに基づいて構築されている。こういったテストは、あなたを「芸術的」や「企業的」などといった6つの興味タイプのいずれかに分類し、それに合ったキャリアを推奨する。しかし、上記の表からわかるように、「ホランドタイプの一致」は実際のパフォーマンスとあまり相関していない。 また、仕事の満足度とも相関は弱い(研究では、0.1から0.3の相関しかみられない)。そのため、私たちは伝統的なキャリアテストにはあまり注目していない。
上記の表では、面接がほぼ一番よいパフォーマンスを示しており、これは次のようなやり方を示唆している:その分野での採用経験がある人と話し、他の候補者と比較したときの自分の立ち位置を尋ねる。これは非常に理にかなっている— 専門家はおそらくこのような判断を行うのがかなり得意なはずだ。
職業適性検査、仕事の知識テスト、および作業サンプルといったテストもよく機能しており、これは別の直感的な方法を示唆している:できるだけ実際の仕事そのものに近づき、それからその結果を見ることだ。以下でそれを実行する方法についていくつか話すつもりだ。
驚くべきことに、IQテストが最も相関しているが、これらは他の仕事と比較してどのような仕事が最適かを判断するのにはあまり役立たない(IQテストが実際に何を測定しているかという問題を差し置いても、だ!)。
これらを踏まえた上で、重要なのは、これらの方法のいずれもそれほどうまく機能しないのだと留意しておくことだ。将来どこで活躍することができるか、あるいはできないかを正確に言うのは難しい。したがって、心を開いてとりあえず自信を持とう — 最初に感じたときよりもきっと多くの選択肢があるのだから!
そして最終的にそれを見つけ出す唯一の方法は、一歩踏み出して実際に試してみることだ。
将来どの分野なら最も優れた成果をあげられるかを予測するのが難しく、直感に従うこともうまくいかないのであれば、経験的なアプローチを取る必要がある:
上記の調査が完了して仕事を始めたとしても、それもまたもう一つの実験だといえる。その仕事を数年間試した後、最良の推測を更新し、同じことを繰り返すのだ。
自分に適したキャリアを見つけることはすぐにはできない — それは、時間をかけてますます良い答えにたどり着く段階的なプロセスだ。

各ステージにおけるコツをさらにいくつか紹介しよう。
素晴らしい選択肢をうっかり早期に除外してしまうコストは、さらに調査するコストよりもはるかに大きいため、広い範囲を見据えて始めることが重要だ。
また、あなたが何に優れているかを予測するのは非常に難しいため、多くのキャリアパスを除外するのも難しいのだ!
これは、意思決定の最も大きなバイアスの1つ、考慮する選択肢が少なすぎることを避けるのに役立つだろう。私たちは、ある時点である選択肢がデフォルトのように感じたために、博士課程、医学、または法律などの経路に入っていった人々に出会ってきた— しかし、彼らがもっと多くの選択肢を考慮していれば、簡単に彼らに合ったものを見つけることができただろう。
また、最近の経験に強く固執する必要があると考えている人々にも出会う。たとえば、彼らは生物学を学んだので主に生物学を活用した仕事を探すべきだと考ているかもしれない。しかし、あなたが何を専攻したかは、ほとんど重要ではない。
したがって、最初に想定するよりも選択肢を多く残す形で、リストの選択肢を作成することから始めよう。これについては、計画することについての記事で詳しく説明する。
すべての仕事を試したり調査したりする時間はないので、分野を絞り込む必要がある。
まず、おおまかな推測をしよう:個人的適性、インパクトの大きさ、仕事の満足度を高める条件の観点から、選択肢を大まかにランク付けするのだ(長期的ではなく、次のステップを比較している場合は、キャリアの資本も加える)
次に、自分自身に尋ねよう:「このランキングにおける最も重要な不確実性は何だろう?」
言い換えるならこうだ。たった2-3問の質問への答えが得られるとしたら、リストのうちどの選択肢が上位に来るかについて最もよく情報が得られるのはどんな質問だろうか?
重要な質問はしばしば非常に単純で、例えば以下のようなものだ:
以下に、あなた自身の適性を予測するためのさらなるヒントを記した。
不確実性のリストができたら、それらの解決を試みよう!
まずは最も簡単で最も迅速な情報収集方法から始めよう。
私たちはよく、例えば経済学を試してみたいと言ってその修士課程に応募する人を目にする。しかし、それは大きな投資だ。代わりに、できるだけ少ない努力でより多くのことを学ぶ方法、「チープ・テスト」を考えてみよう。
特に、トップの選択肢をリストから削除する方法を考えてみよう。あるいは、別のオプションをトップに移動させるために必要なことを考えてみよう。
特定の選択肢を調査する際には、テストの「はしご」を作成することを考えてみる。
各段階において、その選択肢が依然として有望に見えるかどうかを再評価してみたり、または残りの手順をスキップして別の選択肢の調査に移るのだ。
このような「はしご」は次のようなものになるだろう:
どのレストランで食事をするかを選ぶ場合はリサーチする価値があまりないが、キャリアの決定は数十年にわたるあなたの人生に影響を与えるため、正しい選択をするために数週間または数か月の作業が必要になる可能性は十分にある。
何が最善の選択肢か確信することは決してないし、さらに残念なことに、あなたの最良の推測に自信を持つことすら永遠に叶わないかもしれない。
では、どの時点で調査を止めて何かを試してみるべきだろうか?
答えは簡単だ:あなたの最良の推測が変わらなくなったときだ。
もしあなたが調査を続けても答えが変わらなくなれば、それは調査の便益が逓減している可能性が高く、何かを試してみるべきだ。
もちろん、一部の決定は他のものよりも逆転が難しいか、より高いリスクが伴うことがある(例:医学部に進学する場合)。そのため、他のすべてが同じであれば、決定が大きければ大きいほど、調査に長い時間を費やし、答えが確固たるものであることが望ましい。
一度仕事を始めて一歩踏み出すとき、これもまた単なる実験だということを忘れないでおくのがよい。ほとんどの場合、何かを数年間試してうまくいかなければ、他のことを試すことも可能だろう。
各ステップを踏むたびに、自分に最も適したものが何かについてもっと学ぶことができるだろう。
特定の仕事への適性をどのように評価するかについてのさらなるアドバイスは、個別のキャリアレビューを見てみると良い。既にその道に進んでいる場合に対するアドバイスもある。
キャリア適性を予測するための重要なアドバイスは、主要な不確実性を定義し、最も役立つと思われる方法でそれらを調査することである。
ただし、研究や私たちの経験に基づくと、適性を予測するいくつかのアプローチは他よりも特に優れているようだ。
情報を得るための努力をより的確なものにし、より良い推測を行うために、多くの調査を始める前に以下の手順が活用できる。
特定の仕事に対する適性の評価方法に関するさらなるアドバイスについては、個別のキャリアレビュー をご覧あれ。
一般的に良い予測をすることは難しい。しかし、良いことをしたいと考えている場合、これは非常に役立つため、意思決定や将来の予測力を向上させる方法についての記事も用意した。
仮にあなたが数年間にわたってある仕事を試すことに決めたとする。今、あなたはトレードオフに直面している:それを続けるべきか、それともより良い仕事を見つけられることを望みながら辞めるべきか?
多くの成功した人々は、キャリア初期にたくさんの探検をしてきた。トニー・ブレアは政治家になる前にロック音楽のプロモーターとして働いていたし、マヤ・アンジェロは作家や活動家に転身する前に、ケーブルカーの車掌、料理人、カリプソダンサーとして働いていた。一方、スティーブ・ジョブズはインドで薬物中毒になったり、日本で禅僧になることを考えたりするなど、法外な探検を行った。

早くから特定の分野で活躍したタイガー・ウッズのような人々の例は私たちにとって目立つ存在だが、必ずしもそのように早期に専門化する必要はなく、それはおそらく一般的なものでもないようだ。David Epsteinの著書**『RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる(邦題)』**は、ほとんどの人はいくつかの道を試すし、一競技に落ち着く前にいくつかのスポーツを試したアスリートの方が成功する傾向にあると主張しており、タイガーに対する対比としてロジャー・フェデラーを挙げている。
Nature誌の2018年のある研究では、クリエイティブな人々やや科学者の間で、複数の分野を探求した後に「ホットストリーク」が起こる傾向があることが示された。
そして今日では、多くの人が一生の間に複数のセクターや役割で働くことは一般的に受け入れられている。典型的な25歳から34歳の人は平均して3年ごとに職を変えるし、後の年代でもそのような転職は珍しくない。
そして、私たちが主張してきたように個人的適性が重要であるなら、自分に最適な仕事を見つけるために多くの年月を費やす価値はあるだろう。
しかし、探索には当然コストがかかる。キャリアパスを変更するのには時間がかかることがあり、頻繁に行うと安定感がないと見られることもあるだろう。また、一度離れた上で再び戻ってくるのが難しい道もあるだろう。
スティーブ・ジョブズは「決して妥協しない」と言うのが好きだったが、それは現実的なアドバイスではない。真に考えるべきは、探索のコストと利益のバランスをどのように取るかだ。
幸いにも、意思決定科学、コンピューターサイエンス、心理学にはこの問題に関する多くの研究がある。例えば、私たちは『Algorithms to Live By: The Computer Science of Human Decisions』の著者であるBrian Christian氏にインタビューを行い、これらの研究を要約する方法を尋ねた。そして、この問題についての発展的なシリーズ記事を作った。
主な発見は以下の通りだ。
キャリアが始まってから早い段階であればあるほどより探索的であるべきだということには、誰もが同意している。
これは、より良い選択肢を早く見つければ見つけるほど、そのアドバンテージをとれる時間が長くなるからだ。
もし66歳で素晴らしい新しいキャリアを発見して67歳で引退した場合、その恩恵を受けるのは1年間だけだ。しかし25歳で何か新しいことを発見した場合は、何十年も楽しむ時間があるだろう。
さらに、キャリアの初期段階では自分の強みや選択肢について相対的にほとんど知識がないため、さまざまなことを試すことでより多くを学ぶことができる。
また、社会は若い人々がより簡単に探索できるような構造になっている。例えば、多くのインターンシップはまだ大学に在籍している人々にしか利用できないため、他の道を試すコストも若い時期には小さい。
探索における戦略の1つは、いくつかの道を試し、最後に最も良さそうなものにコミットすることだ。(これはコンピューターサイエンスの(時代遅れな名前だが)「秘書問題 」に対する解決策と似ている。これは、応募者集団から最適な候補者を探すのにどれくらいの時間を費やすべきか、という問題だ。)
これは、大学生の時期や最初のいくつかの仕事において最も適した戦略だ。探索が最も簡単で価値があり、あなた自身の不確実性が最も大きい時期だからだ。
この戦略の主なデメリットは、いくつかの道を試すことにコストがかかることだ。ただし、選択肢を注意深く順序付ければコストを大幅に削減することができることも多い。たとえば、学部と大学院の間や夏休み中、またはより可逆的なオプションを最初に置くことで驚くほど多くの選択肢を試すこともできる。
次の選択肢を順序付ける方法を以下で詳しく述べよう:
卒業後の最初の数年間、すぐにキャリアを完全に把握することは考えにくい。一般的に、ビジネスを始める、海外で生活する、非営利団体で働くなど、より変わったことをしてもよいだろう。
うまくいかなければ、「大学院リセット」を利用しよう。つまり、修士号、MBA、法学士号、または博士号を取得することで、標準的な道に戻ってこられる。
多くの人々は卒業後すぐに大学院や他の典型的な道に飛び込んでいくが、これは探索する上での最良の機会を逃してしまっている。
特に、博士課程の後ではなく前に探索を行うことが大切だ。博士課程を終える頃にはアカデミアから離れることが難しくなっている。なぜなら、博士課程からポスドク、そして永久的なアカデミックポジションに移るには、研究に100%集中しない限りなかなか成功できないからだ。したがって、アカデミアに対する迷いがある場合は、できるだけ博士課程に進む前に他の選択肢を試してみよう。
同様に、ビジネスのポジションから非営利団体の仕事に移る方が簡単なので、その2つの間で迷っている場合は、最初にビジネスの世界に入ろう。
別のアプローチは、複数の分野を試すことができる以下のような仕事を選ぶことだ:
あなたが既に仕事をしている場合は、新しい選択肢を同時に試す方法を考えてみよう。余暇時間や既存の仕事にて短期間の関連するプロジェクトを行うことはできそうか?
学生の場合は、できるだけ多くのインターンシップやサマー・プロジェクトを行うように努めよう。大学の休暇は、探索を行うための人生で最も良い機会の1つだ。
上記の戦略の欠点の1つは、あなたにとっての最良の道がまだ全く思いもよらない何かであるかもしれないということだ。
これが、コンピュータサイエンスにおける多くの探索アルゴリズムの内にランダム要素がある理由だ。ランダムな動きをすることは、「局所最適解」に落ち着くのを避けるのに役立つ。文字通りランダムに選ぶことをお勧めするわけではないが、コンピュータアルゴリズムの分野でもランダム性が役立つことは、全く異なることを試すことの価値を示している。
これはつまり、通常の経験とはかけ離れたことを試すということだろう。例えば全く異なる文化の中で生活する、異なるコミュニティに参加する、あるいは既に知っている分野とは異なる分野を試す(非営利団体、政府、企業など)。
例えば、私(ベンジャミン)は大学に行く前に中国語を学びに中国を訪れた。その具体的な有用性については特に考えていなかったが、その経験から多くを学べたと思うし、のちに新興技術における中国と西洋の連携に取り組む人々向けたリソースを作り出す際に確かに役立った。
若者はしばしば「大きな夢を描け」「もっと野心的になれ」と言われるが、それは良いアドバイスだろうか?
必ずしもそうではない。 ディヴィジョン・ワンに所属しており調査を受けたバスケットボール選手のうち、自分がプロでプレーするだろうと思っている選手は75%以上いたが、実際にプレーできたのはわずか2%だった。調査対象者がよい推測しているかどうかは別として、彼らは成功の可能性を37倍以上も過大評価していたのだ。
人々に高い目標を持つように勧めるのは、彼らが成功の可能性を過大評価している場合には的外れだ。
しかし、より的確な見積もりができているときは、良いアドバイスになるだろう。
2つの選択肢を比較してみよう:
研究で成功できる可能性があまり高くないと考えている場合、きっと間違いなく寄付するために稼ぐ方がより大きなインパクトを与えるだろう。しかし、もし研究で成功した場合、そちらの方がはるかに大きなインパクトをもたらすことになる。
1回だけ選択肢を選ぶチャンスがあるとしたら、寄付するために稼ぐ選択肢を選ぶべきだ。
しかし、現実世界は通常そうではない。研究の道を試し、うまくいかなければ、おそらく寄付するために稼ぐ道に戻ることが可能だ。しかし、うまくいけば、残りのキャリアではるかに大きなインパクトを生み出せる。
つまり、ここには非対称性がある。リスクを受け入れられる場合は、まずは研究を試すのが良いだろう。
より一般的に言えば、次のようなキャリアパスを試してみることで最も多くを学べる:
つまり、ロングショットだ。
この意味で、「ピカイチを目指せ」というアドバイスは特に若者にとって有効だ。
この戦略をもっと積極的なものにすると、格別にうまくいった場合(例えば、シナリオの上位10%に入る場合)に基づいて選択肢をランク付けし、最上位のものから始めることだ。ある期間内にうまくいくシナリオに到達できないとわかった場合は、次のオプションを試してみて、その後も同様に続けてみよう。
これは通常、良いバックアップオプションがあり、多くのことを試すことができる幸運な立場にある場合にのみ適している。
この戦略のもう少し穏健なバージョンは、タイブレークにおける決定基準としてこれを使用するというものだ:2つのオプションの間で迷っている場合、潜在的な上昇幅がより大きい方を選択する。
(また、『より野心的になるべき時はいつか』についての一連の発展的な記事も見てみるとよい。)
サンクコスト・バイアスとは、すでにそれにたくさんのコストを払ったからという理由だけで、もはや意味がないことを続けてしまう傾向のことだ。これは、人々が次のように行動してしいがちな原因になる:
これらすべてが示唆するのは、もしあなたが自分の仕事を辞めるかどうか迷っているのであれば、辞めるべきだということだ。
これはまさに、有力なランダム化研究が発見したことだ。スティーブン・レヴィットは、人生における大きな変化を起こすかどうかについてかなり迷っている数万人の参加者を募集した。難しい決断を下す方法についていくつかのアドバイスを提供した後、本当に迷っている人たちに決断を下すためのコイン投げを行うチャンスを与えた。すると、22 500人がそれを実行したのだ。
レヴィットは、参加者に2か月後と6か月後にもフォロー調査を行い、彼らが実際に変化を起こしたかどうか、および1〜10のスケールでの幸福度について尋ねた。結果として、重要な問題に対して変化を起こした人々は10点中2.2点も幸福度が高かったのだ!
もちろんこれは1つの研究に過ぎず、再現実験において効果がより小さくても不思議ではない。しかし、この結果は私たちが期待しているものと一致している。
以前の記事で、目標とすべき長期的なキャリアの道を示すいくつかのアイデアのリストを作成したはずだ。
では、それらの絞り込みを始めよう。
長期的なオプションについてもっと考えたい場合は、キャリアパスの選択肢一覧を比較するための完全版のプロセスを試してみよう。
自分は何が得意かについて、内省や一瞬のひらめきで見つけられると考えがちだが、そういうわけではない。
むしろ、それは科学者が仮説を検証するようなプロセスだ。自分が得意になれる仕事についてのアイデア(仮説)を持ち、それを試す(研究や実験)のだ。文章を書くのが得意かもしれないと思ったら、ブログを始めてみよう。コンサルティングが嫌いだと思っても、とりあえずコンサルタントと話してみよう。
もし自分の「使命」や「情熱」がまだわからないとしても、それは普通のことだ。キャリアのスタート地点、あるいは場合によっては何年も経ってからでも、どのキャリアが自分にとって適切かを予測するのはとても難しい。
その代わりに、行動を起こして試してみよう。進んでいくうちに学び、充実したキャリアに向けて一歩ずつ進んでいこう。
一度領域を選択したら、どうすれば成功を確実なものにできるだろうか?それについては、次の記事で説明する。その後に、これらすべてをキャリアプランに組み込む方法を紹介する。